ポーション屋の午後に ― はじまりの香り ―

深い森の奥、道に迷った者だけが偶然たどり着く小さなポーション喫茶「リィナの店」。
ある午後、旅の途中で疲れ果てた一人の客が、森の風に導かれるようにその店を訪れる。

店主のリィナは穏やかで不思議な雰囲気をまとった女性。
彼女が差し出すのは、“香り”を大切にしたポーション――心をほぐし、呼吸を静かに整えてくれる。

客は香りと温かさに包まれながら、言葉にできない疲れや迷いを少しずつ手放していく。

リィナは客の沈黙や表情から、抱えてきた痛みや優しさをそっと読み取り、森の光や風、瓶にこもった記憶の香りを使って心を整えていく。

再び道に迷うことがあれば、またこの店に来ればいい。
森も風も、その人を歓迎してくれる。

これは、心が疲れた旅人と、静かな癒しの店との初めての出会いを描いた物語。